財務諸表の数字をただ並べるだけでは、社内プレゼンや報告資料で伝わりづらい――そんなお悩みをお持ちの財務部・経理ご担当者の皆さま
また、企業の財務状況を分析している個人投資家さまへ
本記事では、エクセルで“比例縮尺財務諸表”をサクッと作成できる無料テンプレートをダウンロード付きでご紹介します。
BS・PLの項目ごとに自動で正規化・グラフ化し、一目で「資産」「負債」「費用」「売上高」のバランスがつかめるので、資料作成の手間を大幅に削減。30分以内に完成するステップ・バイ・ステップの解説で、今すぐ実務に役立つビジュアルレポートを手に入れましょう!
比例縮尺財務諸表とは?
- 財務諸表の「構成比」を可視化
資産・負債(BS)や売上・費用(PL)の各科目を、その期の合計金額で割って0~1(または0~100%)に正規化し、積み上げ棒グラフで表示する手法です。 - 期や企業間で構成比を横並び比較
規模の大小にかかわらず、同じ軸スケールで“中身の比率”だけを見ることができ、「何に注力している会社か」「利益はどこから生まれているか」を直感的に把握できます。
通常の財務諸表との違い
通常の財務諸表 | 比例縮尺財務諸表 | |
---|---|---|
表示内容 | 実際の金額(百万円、千円など)を表形式で列挙 | 正規化した比率(0~1、0~100%)を積み上げ棒グラフで可視化 |
比較のしやすさ | 同じ通貨単位だが、企業規模や期ごとの大小差で比較が難しい | 規模差を排除し“構成比”のみを並べるため、複数期・複数社の横比較が容易 |
メリット | 金額感や絶対規模がひと目でわかる | どの科目がボリュームを占めるか、変化トレンドが把握しやすい |
デメリット | 大規模企業の影響で小規模科目が埋もれやすい | 実際の金額感がわかりづらく、読み手への補足説明が必要 |
【追加】正規化しない場合でも確認できること
- 金額そのものを見ることで「絶対的な資産水準」や「キャッシュポジションの多寡」、「売上高・利益額の推移」などをダイレクトに把握できる。
- 規模の変化を重視したい場合(たとえば設備投資額の増減や、営業利益額の拡大・縮小など)は、あえて正規化せずに金額ベースで見ることにもメリットがある。
無料テンプレートのダウンロード&ファイル構成
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シート構成と各シートの役割
[ReadMe]シート
エクセルファイルの使い方や、利用にあたっての注意事項を記載しています。
[入力]シート
[入力]シートでは実際の資産や負債などの値を入力するシートとなります。
貸借の一致や損益の一致を必ず確認してください。
[統合 実数値]シート
[入力]シートの内容をまとめて、グラフとして出力するシートとなります。
こちらのシートは実際の値を反映させたものとなります。
[統合 正規化]シート
[入力]シートの内容をまとめて、グラフとして出力するシートとなります。
こちらのシートは実際の値ではなく、正規化されたグラフが使用されています。
テンプレートの使い方
①[ReadMe]シートの確認
使い方や利用にあたっての注意事項が記載されているため、
必ずご確認ください。
②BS/PL数値の入力[入力]シートに値を入力
下記画像[入力]シート
黄色に塗りつぶしをしているセルへ
値を入力してください。

この際、差分確認を行っているセルで
「差分なし」と表示されていることを
必ずご確認ください。
③[統合]シート確認
次に[統合 実数値]または[統合 正規化]シートを確認してください。
下記画像のように表に値が入力され、グラフが作成されています。
実数値のシートと正規化されたシートの2種類があるため、
使い分けてください。

まとめ
本稿でご紹介した「比例縮尺財務諸表」は、各科目を同じスケールで比較できるグラフを作成する手法です。
→ 貸借対照表の資産・負債構成や損益計算書の売上高・費用構成を、一目で把握できます。
Excelテンプレートを使えば、合計値の計算や正規化(0~100%への変換)を自動化でき、データ入力後すぐに積み上げ棒グラフが完成します。
→ 毎期の更新作業も簡単に行えるため、月次・四半期・年度ごとの比較分析に適しています。
正規化して表示するメリットは、絶対額の大小にかかわらず「構成比」の変化を捉えやすい点です。一方で、正規化しない場合は「金額の増減」そのもののインパクトを確認できます。
→ 分析目的に応じて、両方のグラフを使い分けることをおすすめします。
本手法は資産・負債・損益のバランスを見るのに有効ですが、必ず併せて「実額ベースの財務諸表」もチェックしてください。
→ 絶対値の動きが業績や財務安全性を判断する基本情報となります。
まずはテンプレートをダウンロードし、3期分のデータを入力してみましょう。完成したグラフを社内資料や経営会議で活用し、見せたいポイントを強調する形で説明すると効果的です。
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